賃貸のお部屋を借りる際に、賃貸借契約の種類の中には
定期借家契約と再契約型定期借家契約がある事を皆さまはご存じでしょうか?

定期借家契約とはオーナー様が建て替えや長期出張の予定があるため
期限を切って賃貸を貸し出す契約です(その分賃料が相場より少し安くなります)。
更新は出来ず、そのお部屋を気に入ったとしても定められた期限までに退去しなければいけないので、余程条件に合致するかタイミングが合わない限りは入居者に選ばれにくい契約となります。



今回紹介する『再契約型』定期借家契約は、再契約≒更新が可能な定期借家契約となります。

再契約型定期借家契約と、そのメリット

再契約型定期借家は基本的には期間満了に伴い退去頂く定期借家契約とは異なり再契約(更新)が可能となります。
しかし、滞納や騒音、迷惑行為があった入居者には再契約不可を言い渡しオーナー様側から契約期間満了を持って賃貸の終了を言い渡したり、建物の老朽化の際に再契約を停止する事が可能となります。

また、いつ建て替えや取り壊しになるかはわからないけれど、老朽化により5年10年後には確実に取り壊そうと思っている場合。
通常の賃貸借契約を結んで途中で取り壊しによる退去通告をすると、入記者様の移り住む物件の初期費用や引っ越し代を負担する事が多いですが、再契約型の場合は半年前に契約満了で終了する旨を通知するだけで済みます。

また、上記にも挙げた通り、共用部を散らかしたり、騒音を出す入居者に対して、内容証明を出したり、弁護士を雇ったり、裁判をしなくても通常の契約満了として退去させることが可能となります。
これにより『他の入居者に迷惑になるような事を行ったり、大きな騒音を発生させる入居者のせいで他の入居者がどんどん退去していき、気づいた時には空室ばかりになっていた』というような事例をなくすことができるため、良識のある入居者が定着しやすい賃貸物件運営が可能となります。
また、申込時点で夜間のお仕事であったり、特殊な職業や立場の人のお申込みなどで今までであればオーナー様が入居させるかどうか少し悩んでしまうようなお申込みなども再契約型定期借家契約を結んでもらう事で入居を承諾して頂き、もし万が一問題が起こった時にだけ更新を行わないといった対応が可能となります。

再契約型定期借家は一見入居者様側に大きなデメリットがあるような契約に見えますが、長期で借りる人には騒音被害やモラルに関する他の入居者の被害を大きく抑える事が出来るため、快適な環境維持という大きなメリットもあるのです。

再契約型定期借家契約のデメリット

再契約型定期借家の最も大きな問題は、『再契約型』定期借家契約という名称も仕組みも世間では全く浸透していないという事です。
問題が発生しない限りは再契約可能であるにも関わらず、契約形態に馴染みがないせいで定期借家契約と勘違いされてしまい、なんだか難しくてよくわからない、更新できないのではないか?と思われて敬遠をされてしまい、募集段階で本来入居できるはずだったお客様を逃してしまう場合があります。

また、賃貸検索サイトではそもそも定期借家契約を弾くような項目があるため、チェックを入れられてしまうと検索結果にすら出てこなくなってしまいます。

この問題に対する対抗策は募集図面の段階で再契約型定期借家は再契約可能であることを明記し、
どういった理由で再契約型なのか、(10年後建て替えるかもしれないため・問題を起こす入居者に対応するためなのか、)等と、迷惑な隣人が居た際にオーナー様の方で契約解除する事が可能なので、快適な賃貸環境が維持できる旨を明記する事が大切です。

まとめ

このシステムは再契約できるメリットが大きいですが、貸主の意向で更新を打ち切り、契約解除できる分、普通の賃貸借契約に比べてしまうと、やはり借主には敷居の高い契約である事に変わりはないと思います。
しかし、通常の定期借家契約に比べれば断然敷居が低くなり、使わなくなった戸建て住宅や取り壊そうか悩んでいるアパートなどの貸し出しが促進されたり、本来であれば入居を断っていた申込でも一考の余地を与える可能性のある契約形式です。
弊社でも何件か再契約型の定期借家契約がありますが、現状、特に問題は起こっておりません。
不動産業界では現状95.5%が普通借家契約で、定期借家契約はわずか5%しか無い状態ですが、これから再契約型定期借家が増えて10%くらいには伸びて借主も貸主もより多い選択肢を取れるようになればいいのではないでしょうか?