先日、NHKの番組で不動産賃貸に関して興味深い事件の特集が組まれていました。
家賃を生活保護の上限に設定した物件に生活保護受給者を次々と斡旋して満室にした後、物件を売却し、
その後、斡旋した生活保護者を別の物件に移すという行為を行っている社団法人と不動産会社のグループがあるというのです。
まず相場よりも利回りの良い物件を用意する。
生活保護受給者に支給される費用の内約は生活扶助費、住宅扶助費に分けられます。
生活扶助費は食料や生活必需品等を購入するための費用。
住宅扶助費は住まいとなる賃貸の費用として支給されます。
この住宅扶助の費用は市によって支給される上限が決まっており。
例えば市川では単身の場合では46000円を上限として支給されます。
3万円の部屋に住めば住宅扶助費は3万円しか支給されません、差額の16000円は支給されないため、基本的に生活保護受給者の方々は上限いっぱいでなるべくクオリティの高いお部屋を探す事になります。
そこに目をつけたのが今回話題にのぼった不動産会社と生活困窮者支援を行う一般社団法人です。
単身用のお部屋の相場が2万3万の地域で、公園にいるホームレスの方や生活困窮者を集めて、相場よりも高い生活保護上限である価格で物件を満室にして、投資用賃貸として売却するのです。
入居させた生活保護者を言いくるめて再び引っ越しさせる
今回の件で凄い所は、生活保護入居者で満室にした物件を利回りの良い賃貸物件として売却した後に、社団法人が入居者を言いくるめて別のお部屋に引っ越しさせるのです。
どのような手続きを取っているのか番組では詳細に語られませんでしたが、
夜逃げ同然の状態で次の物件に引っ越しをさせて、
また満室にした物件を売り渡すという事を繰り返しているというのです。
本来であれば生活保護を受給している方は住居が市役所の生活支援課に登録されているため、無断で引っ越す事はできないのですが、社団法人と不動産会社が協力して何らかの手続きをとっているのか、生活保護費を受給したままの状態でお部屋に家具を残したまま夜逃げ同然で退去していくようなのです。
今回の物件を購入したオーナー様は一見して優良な家賃価格と入居率を見て、利回りの良い物件だと思い購入してしまいました。
しかし、次々と入居者が退去したために、すぐに周囲の同価格帯へと家賃を下げる事になり、
次の入居者のための修繕費用、前の入居者が残していった家具の撤去費用等、下げた家賃で賄いきれなくなったローンの返済により、全ての計画が狂ってしまいました。
ローンを払うと毎月を6万円程度の赤字になってしまい、1年と少しで100万円以上の損益を出しているとの事です。
他にも賃貸物件でのこんな一例
架空の会社の営業に言われるまま手付金を払って持ち逃げされる例
不動産会社を名乗る営業マンに良い物件を紹介されて、『他に購入希望者が控えているので、早く申し込まないと無くなってしまう』などと急かされて、申込及び手付金の支払いをするものの、そんな不動産会社も、申し込んだ物件も存在せず。払った手付金だけを持ち逃げされる詐欺。
不動産の手付金は不動産価格の20%超える金額を請求できません、また分割でのお支払いもできません。これらは宅建業法で決められたルールとなります。
手付金20%を超えていたり、分割でいいので今支払って欲しいなどと言われた時は怪しんだ方が良いでしょう。
また不動産会社の情報がきちんとしたものか良く調べる事も大切です。
妙にせかしてくるような場合は調べる時間を与えたくない場合が多いので、惑わされないようにしましょう。
満室という条件だったが無理やり入居者を繋ぎとめていただけの物件
満室の物件を紹介されて購入後に入居者の契約書を見るとフリーレント契約(ある特定の期間まで賃料無料)もしくはある期間まで極端に家賃が安い契約になっており無理やり入居者を繋ぎとめている状態で、自分が賃貸を預かった時期からどんどん入居者が退去していくという満室詐欺です。
レントロール(家賃明細表)などを貰い、契約内容をよく確認しましょう。
賃貸物件を買う際にこういった被害にあわないために
利回りの良い物件を購入する際に、本当にその数値は正しいのか、何故利回りが良いのに売りに出されているのか、不動産を購入する前に良く調べておくことが大切です。
その物件だけを見るのではなく、立地やその周辺にある同じような年数、平米数の建物の値段や家賃帯、
また、入居者の性質等を確認しましょう。
隣の一軒家の家主が相当なクレーマーであったり、入居者にゴミ屋敷の人がいたりする場合もあります。
周囲の家賃価格と比較して問題はないのか、入居者の性質等をよく確認し、
必ず現地を一度確認し、周辺を散策しましょう。